2007年12月13日

夢野久作「電信柱と黒雲」







電信柱と黒雲
夢野久作



 電信柱が寒い風にあたってピーピーと泣いておりました。
 黒い雲が来て、
「何を泣いているのだえ」
「寒いからさ。お前のような雲が来るから寒いのだ。こちらへ来ないでくれ」
「おれが悪いのじゃない。風がわるいのだ。おれは風につれられて来るのだから」
「おれは黒いものが大嫌いだ。この間も鴉がとまって、アホーアホーとおれを笑った」
「それじゃこれはどうだ」
 と言ううちに白い雪をチラチラと降らしました。
 電柱はだまってしまいました。





--------------------------------------------------------------------------------

底本:「夢野久作全集7」三一書房
   1970(昭和45)年1月31日第1版第1刷発行
   1992(平成4)年2月29日第1版第12刷発行
初出:「九州日報」
   1924(大正13)年2月7日
※底本の解題によれば、初出時の署名は「香倶土三鳥」です。
入力:川山隆
校正:土屋隆
2007年7月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




--------------------------------------------------------------------------------

●表記について

このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
posted by うたたね at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 夢野久作
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/72512991

この記事へのトラックバック